はいれない校舎

いつか行きたいと思う場所はいくつかある。

行ったことのない場所へ行きたいのもあるが、慣れ親しんだ場所へもう一度行ってみたい気持ちもある。

 

その中でも小学校の校舎へはいつか入ってみたいのだ。

 

30を過ぎてもたまに小学校の夢を見る。

あと何十年過ぎようときっと幼少期の記憶からは離れることはないのだろう。

 

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僕の通っていた小学校の校舎は、部外者でも解放されていた。

しかし近年の事件を背景に、警備員が門の前に配備され、易々と入ることはできなくなっている。

 

きっと事前に連絡を入れて、段取りを組めば、入らせてもらうことは不可能ではないのだろうけど、何処にどうやってどんな理由で入らせてもらう?

そんなことを考え始めると億劫になり、またいつかでいいやと諦めてしまう。

 

すごく気楽に、もっと気ままに、立ち寄りたいわけだが、そんな想いも、どこか迷惑な話なんだろうなぁと誰に相談したわけでもなく勝手に納得している。

 

 

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過去は過去だと割り切っていいのだが、小学校とは別に、去年、ちょっとしたきっかけで高校の校舎へ入る機会があった。

 

何でもない校舎なのだが、光が差し込まない渡り廊下や、吹奏楽部の音楽にならない練習音に、何かを話している高校生の笑い声など、卒業して15年経っても何もかも僕がいた頃と変わっていない空間に、非日常的な感覚に見舞われた。

 

この”変わっていない”と感じる情景の記憶はとうに忘れていて、そんな無くなった記憶とまだ微かに残っていた記憶が、ピュッと一気に繋がりあい、あっ!と当時の感覚を思い出す。

 

それにつられるように当時抱えていた気持ちがぼわっと沸きあがるのだ。

”過去に行った場所に行くと、当時の気持ちを思い出す。”

 

そんな記憶と記憶が繋がることで、その土台になる感情も目を覚ますのかもしれない。

 

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高校時代より前の小学校の頃。

僕はどんなことを思って毎日を暮らしていたのだろう?

すっかり忘れているはずなのに、夢の中でまだ当時の気持ちを忘れないように温存している。

 

教えてほしいのだけど、現実の小学校では、警備員ががっちりと僕の記憶を触らせないように目を光らせているのだ。

 

 

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