僕の”小さな”夏休み

セミが鳴いている。

 

ランニング帰り、戸建ての並ぶ歩道を歩きながら、僕の頭の中で虫取り網と緑が広がる風景がうかんでくる。

 

梅雨の晴れ間、幼少の夏に誘われていくようだ。

 

 

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遠くで鳴いている声の在り処に耳を澄ませ歩いていく。

 

なぜか妙に蝉がみたくなっていた。

 

ちょうどあの空き地の木から蝉の声がするようだ。

 

 

 

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蝉がミンミンとステージに上げられたように歌い上げる。

 

枝葉から夏の日差しが木肌の鱗に垂れ浸っている。

 

 

 

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 たった一本の木なのに視界いっぱいに緑が広がり、東海のジャングルに迷い込んでいた。

 

夢中でこの木から蝉を探す一方で、

「こんな風に木を見上げることもなくなったなぁ」とどこか子どもになりきれず、体験を有難がる30代の僕も顔を出したりする。

 

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結局、声はするも蝉が見つからず、顔に蝉の小便をかけられるのも嫌なので、退散することにした。

 

子供の頃のボクも「熱いし帰ろうよ・・・」と言っている。

 

そんな何年経っても根性が続かない僕らを小脇でタヌキが笑っている。

 

 

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タヌキ「ヌホホホホ」

 

 

 

 

蝉を諦め再び家に帰る途中。

 

道路に面した花壇で、ひまわりが空に向かって背比べをしている。

 

 

 

 

 

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僕よりはるかに高いところから、ゆらゆら夏の風に揺れている。

メトロノームの振り子みたいだけど、リズムはばらばらで。

 

すると、また聞き覚えのある声がえらく近くから聞こえる。

 

 

ん・・・?

 

 

あ、いた。

 


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今年初めて見た蝉は、

ひまわりの葉を日陰にして、ゆらゆら揺れながらミンミン鳴いていた。

 

 

そして、また梅雨の雲がモクモクと膨らんでくる。

 

またひとしきり降り終えたら、探さなくても蝉が飛び回る、熱い夏が始まるのだろう。



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