さっきまで騒いでいたのに急にぴたりと黙って、じっと何かを見ている。
何を見ているのか気になって近づくと、子どもは小さな手を前に出して、自分の手をじっと見ているのだ。
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小指だけを突き立てたり、そのまま親指を出してアロハポーズにしたり。
どうやらこの行為はハンドリガードと呼ばれ、赤ちゃんが自分の手の存在に気づき、じっと観察をしているようだ。
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丁寧に指を開いたり閉じたり…。
それをじっと見ている。
自分の意思で動かして、そのまま動いている手がとても不思議なんだろう。
こうやって子どもの不思議に付き合うのはとても面白い。あまりに当たり前にありすぎて、全然見なくなった手。
子どもに並んでボクも手をじっと見てみた。
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"手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかにながれる ぼくの血潮"
やなせたかしさんは、生きていることを、この手に流れる血で表現される。
そして今もボクの体の中でグルグルとその血脈は流れていて、その血をわけあたえるように、子どもが手をじっと見ている。
不思議そうに動かしているけど、ボクも不思議そうに子どもが動いているのを見ているのだ。
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そして、子どもは自分の手をそのまま口の中に放り込んでペロペロしていて、
「あぁこれが、指しゃぶりへと進化するんだろうなぁ」と自分が指しゃぶりをしていたことを思い出したりもする。
今は動くのを不思議そうに見ているその手を使って、色んなものを動かし創りあげてほしい。
そんな子を親として、じっとチルドレンリガードしていた。
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