僕の父親は元自衛隊員だ

僕の父親は、元自衛隊だ。

いまは自衛隊を辞め自営業をしているのだが、そんな父親のルーツは何なのか、以前話をきくことがあった。

 

 

 

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父親は勉強が子供の頃から得意で、よく父親の母(僕から見るとおばあちゃん)から褒められていたとのこと。

 

 

自分は成績が良く、母親からも褒められる”選ばれた人間”だと思い、当時では珍しく中学受験をして、私立の中学校へ入学することになった。 

そのまま高校、大学と勉強で進むがまま進学し、可能性がどんどん広がっているように本人は思っていたが、専門的な学問になり、むしろ潰しが効かないレールになっていたとのこと。

 

母親はそれでも褒めてくれるから、その道を進んでいくのだが、それは自分の父親の自営業の跡を継ぐ、それしか残されていない道であることに薄々気づいていたとのこと。

 

”選ばれた人間”だと思っていたが実は”選ばされた人間”であることに気づいた時、父親は悩みながらも初めて自分の意思で行動することになる。

それが自衛隊への入隊だった。

 

 

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今でこそ世間の自衛隊の印象はいいが、それは震災後だと父親は話す。

 

阪神淡路大震災東日本大震災など、大きな災害時に、自衛隊の活躍が評価され、自衛隊は市民権を得ているが、父親が入隊した当時の自衛隊はまだまだ世間からの風当りは強かったとのこと。

 

戦争を助長する印象があった当時の自衛隊は、国の軍事力としての側面で見られ、戦争反対が根強くある中では、後ろ指を指されるのも珍しくなかったのだ。

 

そんな時代の自衛隊になぜ入隊したのか?

それは生まれた地域から一歩も出ない閉鎖的な世界に反抗したかったからだという。

自衛隊に入隊し、全国の地域を回る。それは父親にとって縛られた世界から解放される瞬間であった。

 

おばあちゃんが作ってきたレールに対して、初めて父が自分の意思で外れ踏み出す一歩のように僕は思えた。

 

 

 

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結局自衛隊に入隊して10年。

おじいちゃんも年齢のため経営を父に任せるということで、自営業を引き継ぐことになった。短い時間であったが、自衛隊として全国を回るのは楽しかったと笑いながら父親は話していた。

 

 

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自分の人生だから。

 

割り切って自分の意思で走り回った10年。

そして親のレールについには引き戻されてしまう人生。

 

何を幸せとして考えればいいのか今の僕はわからないけど、父親は僕に強制的なレールをひくようなことは一切なかった。

 

もし僕にも同じように敷かれたレールがあったとしたら・・・

父親のように外れた一歩を踏み出したのだろうか?

父親のようにまたレールに戻ってくるのだろうか?

 

話を聞きながらじっと考えていた。

 

 

 

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