レンズに、僕の目に、写りこむ

電車。

 

通勤電車は僕の体を、会社の最寄駅に運ぶだけの乗り物だ。

乗り物というより、街にあるエレベーターやエスカレーターのようなもので、ただじっと立って駅のホームで電車を待ち、電車が来たら3歩進み、また電車の中で立っている。鉄の塊のようなモノ。

 

電車を待つ乗客だって僕と同じように思っているはずだ。

 

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ネクタイをずらして、ヘトヘトにへなっている仕事終わりのホーム。

ふとホームの片隅に目をやると、一方向に構えた 数人の人だかりができていた。

無機質にも感じ得るホームに、大きな一眼レフを持った人たちがパシャパシャと電車を撮っている。

 

撮り鉄だ。

 

 

 

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彼らのレンズに写り込む電車と僕の目に映る電車。

同じ風景でも、ピントを合わすその情熱に圧倒的な希望の差が生まれている。

 

どんな風に彼らはこの景色を見ているのだろうか?

そもそも撮っているあの電車は有名なのか?

 

スマホで調べていても出てこない。

どうやら撮られている電車が有名な訳ではない。

電車ではなく、”撮っている場”が撮り鉄の方々の"お立ち台"のようだ。

 

 

 

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調べていると僕の家の近くにも撮り鉄御用達のお立ち台がある。

ネットで検索をかけると、撮り鉄の方々の心血の注がれた”生きた電車”を見ることが出きた。

 

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まるで電車図鑑の一枚。

電車にFACEBOOKがあるのだとしたら、これがTOP画になるのだろう。


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この2枚とも場所は同じだ。

僕もよく見る光景ではあるのだが、こんなに旅をしたくなるような場所だったのかと驚かされる。

 

この電車に乗る人たちも、きっと降り立つ駅に胸を弾ませているはずだ。

冒頭の電車に対する無感情な発言を撤回したい。

 

 

 

 

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走り抜ける一瞬を目がけて、何十枚も連射し美しさを留めようとする撮り鉄

何を覗きこもうとしているのかによって世界は一変する。

 

今はまだ無関心で僕の目には見えていないものも、ピントを合わせるとまだまだ世界は希望であふれているのかとも思えてくる。

 

 

 

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