新天地での職場へは電車通勤となる。
東海地方の田舎で仕事をしてきた自分としては、満員電車にのるコロナへの恐怖感が半端ない。
マスクが予防になるのか怪しいので、車内に入ると息を止めてみた。が、まるで息が持たないので一回でやめた。
電車通勤なんてこの時期絶対したくない!と思っていたが、サラリーマン・学生等多くの人間と一緒に電車へ乗り込むと、「仕方がないか…」「電車でのクラスターは聞かないしな」っと結局大衆心理に流されている自分がいた。
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そのまま電車は、僕を都会の町へ放り投げる。
投げられた先はスーツを着た集団の海。その海は、中央改札口へと流れができており、崩壊したダムのようにせき止めることなく、次々人を町へ送り込んでいるのだ。
町に出ると信号を無視する人。それを見て待っていたのに、赤信号を渡り始める人。
車がきてクラクションを鳴らされる人。
誰かが動くと、町も動く人に合わせてリアクションを返す。
でも多くの人は、そのリアクションをチラッと見て、またスマホに目をおろす。
信号が青色にキラリと光る。
心不揃いな軍隊のようにバラバラなスピードで、みんな歩いてく。
この道には今200人ぐらいいるけど、誰一人話していない。
凍ったお祭りのようだ。みんなマスクをしているから表情が見えず余計に凍っている。
そんな町の壁には「マスクの下は笑顔です!」と取り繕うようにニコニコと僕に微笑んでくるのであった。
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初出勤ということもあり、時間にだいぶ余裕があったので、なんとなくマクドナルドに入った。
道には道路にはみ出すほど人がいるのに、店内はガラガラ。
コーヒーを飲みながら外を見る。
一息ついてソーセージマフィンを食べる。
コーヒーの香りを楽しもうとする。
ソーセージを味わおうとする。
当たり前になっていく日常を、まだ凍る前にマクドナルドの窓からじっとじっと外をみていた。
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