海のある町

5年以上住み慣れた場所から引っ越しをする。

 

会社の関係で僕は現在東海地方にいるのだが、異動を言い渡されて中部へ転勤することになった。最初は早く引っ越したかったが、今となればとても名残惜しい。

 

僕の現在住んでいるところは、徒歩5分で海がある。

 

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生まれは大阪で海が全然ない街で育ったためか、この徒歩5分の海をすごく僕は好きになっていた。

 

朝起きてランニングをして日の光で輝く海を見ながら目を覚ましていく。

 

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仕事から帰り、日が沈む空と海を見ながら一日を振り返る。

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休みになるとこの海の近くに喫茶店があり、よくそこで珈琲を飲みながら本を読み、ふと窓からこの海を見たりしていた。

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海のある町での暮らしは、とてものどかでいつからか僕にとって大切な時間になっていった。

 

わざわざ地元の友達を呼ぶほど良いところなわけでもない。

でも確実に流れている”丁寧な時間”が、人生に深く、ずんっと大きな意味を与えている。

 

この風が吹けば、ゆるりと消えてしまいそうな時間。 

永遠でないからこそ、感じ取れるものがあるし感じ取らないといけないものがある。

 

いつか言い渡される異動ではあったが、ついに言われてしまった。

なんだか学生時代の卒業のような感覚だ。

 

 

 

 

 

 

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この東海地方に来た時は、まだビールがそこまで強いわけではなかった。

タバコも1日数本吸いながら、家のベランダではにおいが残るから近くの公園までいって吸っていたことを思い出す。

 

自転車で近くのマックスバリューでお惣菜を買ったり、車を手に入れてからは、銭湯を夕方から入り、帰りははま寿司でえんがわを好んで食べていた。

 

家に帰る途中にこの海に寄り、タバコを一本吸う習慣。

風が強くなかなか火が点かない。波の音だけが響く中で懸命につけようとタバコを加えながらするため、フィルターが唾液で濡れていく。

 

湿った潮風と海独特の塩素の香りの中、吹きかけられた紫煙をかき分けてフナ虫が走っていった。

 

 

 

ビールを7杯は飲める頃、ベランダに置いた灰皿はパンパンになっていた。

すっかりこの地方にも馴染んでおり、ガラガラの映画館で快適に鑑賞を楽しんだり、空港まで直通のフェリーに乗り国際線で海外旅行を楽しむなど、地方ならではのインフラ見つけ出しては楽しむようになっていった。

 

海についても電子タバコだ。風の強さで火が点かないという不自由はなくなっており、蒸気をぷかぷか浮かべていた。

 

そのまま土日になれば大阪へ車を飛ばし帰っていく。

独身時代を謳歌しつつゆっくりとでも確実に時計の針は進んでいたのだろう。

 

 

 

 

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そしてそんな海のある町で感じてきた見てきたことを文字にしたり、絵を描くようになっている。

 

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同じ場所にいてもどんどん変わっていく。

 

ついこの前まで読者さんの顔を描き紹介をしていたのに、今やドーパミンやら快楽がウンタラとか言ってる。

 

でもこの思い出。

少しずつ忘れていくけど、次の町にも持っていきたいな。

 

海のない町でも海をちゃんと見つけられるように。

 

 

 

 

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